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第60回
 リスクアセスメントの話ー職長・安全衛生責任者の資格

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リスクアセスメントの話ー危険の洗い出しで災害防止

最近は建設の現場でも作業が複雑化し、それに伴って事故の危険性も多様化しています。そうした中で、労働災害の減少を図るためには、法令上の安全基準を定型的に守るだけでなく、個々の現場で事故につながりうるリスクを見つけ出し、それらに優先順位をつけて一つひとつ対応策を実行する「リスクアセスメント(危険性又は有害性などの調査等)」が大切になります。リスクアセスメントを実施して、現場から危険の芽を摘み取りましょう。2011年CAT CLUB No.111掲載記事

平成17年11月2日に「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が公布され、平成18年3月10日には労働安全衛生法第28条の2第2項の規定に基づく「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」が公示されました。これにより、各会社では平成18年4月1日より、「リスクアセスメント」の実施が努力義務になっています。

今まで行ってきた「危険予知訓練」や「ヒヤリハット活動」とどのように違うのでしょうか。「危険予知訓練」は現場にどのような危険が潜んでいるかを見つけ出して対策を立てることで、特に危険に対する感受性を高める訓練ということができます。

これに対して「リスクアセスメント」は危険を特定するだけでなく、その危険を見積もり・評価して、それに沿って優先順位をきめて対策を検討・実施し、そしてその結果どれほど危険度を下げられたかを定量的に評価、記録していく手法です。単純にリスクがある・ない、ではなく、その度合いや改善の効果を判断・評価する点が特徴といえます。

リスクアセスメントを導入することで

①職場のリスクが明確になる。

②職場のリスクに対する認識を、管理者を含めた職場全体で共有できる。

③安全対策について、合理的な方法で優先順位を決めることができる。

④残されたリスクについて「守るべき決め事」の理由が明確になる。

⑤職場の全員が参加することにより「危険」に対する感受性が高まる。

などの効果が得られ、「労働災害が生じない快適な職場」の実現へとつながります。

リスクアセスメントステップ

上の手順を「登山」に置き換えてみると、次のようになります。

リスク

登山の目的の山では近年クマの目撃情報が多く寄せられているとします。この場合、クマに遭遇したときに、襲われてケガをし、最悪、死亡するなどの危険性(リスク)があります。しかし、人が登山してクマに近づかなければ襲われる心配はありません(人にとって危険はない)。人が近づくことで危険が発生するということになります。

ここで、登山に行くときに「クマに遭遇するかもしれない」「クマがこちらに気づいて襲ってくるかもしれない」などを考えると思います。これは危険性を検討(洗い出し:STEP1 )しているということです。

次に考えることは「クマに遭遇する可能性は?」「もし襲われたらどのくらい重いケガをするか?」ということです。これは、危険性の高さを検討(レベルの見積り:STEP2 )していることになります。

そうした危険性にどのように対応するか?「行くのを止める(行かなければリスクはなくなる)」「一人ではなくグループで行く(リスクはゼロにはならないが減少する)」「クマ鈴などを持って音を出しながら歩く」「撃退用のスプレーを持っていく」などということを考えるでしょう。これが、危険性の低減措置を検討:STEP3 しているということに当たります

危険性を完全になくすことは困難でも、減少させることで、より現実的な対策を検討します。そして、実施可能な対策の中で優先度の高い方から実施STEP4します。これらの手順がリスクアセスメントです。

リスクアセスメントは、労働安全衛生法(平成11年労働省告示第53号)に基づく労働安全衛生マネジメントシステム構築の根幹をなすものです。但し、皆さんの会社でリスクアセスメントを導入する際は、会社内で導入することを決定した上で事前の準備や担当者の養成が必要となります。厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」には、さまざまな業種に対応したリスクアセスメント実施支援システムが掲載されていますので、ぜひ参考にご覧ください。

厚生労働省職場の安全サイト

フォークリフトの運転では・・・


危険の洗い出しについては、例えばフォークリフトの運転で転倒しそうとか、足場から落ちそう、などといった作業現場での「気づき」でリスクを予見するだけではなく、そもそもなぜ転倒しそうな状況に陥るのか、足場が落下しそうになるのかなど、人と作業のかかわりを調査し「なぜ」を深く分析することで危険度の低減に向けた対策についての貢献度を明らかにすることができます。

 リスクの見積もり・評価では、その危険がもたらす被害や障害の重大さと発生頻度を勘案し、基本的にリスクの高い案件から優先順位をつけて、その対策を検討していきます。

 見積もり・評価のやり方はそれぞれの現場に応じて様々な方法がありますが、まず最初に行うことは評価の方法や配点などについて社内で合意、決定することです。決定された方法に従って危険レベルの見積もり評価を実施していきます。見積もり評価の一例を次に示します。

リスクアセスメントの見積もり評価

ところで作業現場での安全の確保に向けて、労働安全衛生法では「事業者は建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない(労働安全衛生法 第28条の2 抜粋)」 とあり、この調査と措置が努力義務として課せられています。

調査及び措置検討の実施タイミングとしては労働安全衛生規則 第24条の11及び12に;

  1. 建設物を設置し、移転し、変更し、又は解体するとき。
  2. 設備、原材料等を新規に採用し、又は変更するとき。
  3. 作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するとき。
  4. 建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等について変化が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。
  5. とあります。

    「安全」といっても、実際の作業において絶対に安全な状況というのは存在しません。

    安全な状況とはISO/IECガイド51で「許容できないリスクがないこと」と定義されています。

    つまりリスクがあっても「まぁ、我慢できる」レベルまで危険度が下げられていればそれは安全な状況であるということができ、そこで法令で定める調査・措置に際しては、リスクアセスメントによって危険度のレベルを数値化することが効果的であることがわかります。

    リスクの評価には様々な方法がありますが、どのようなリスクが存在し、どの程度であれば許容できるのかについては職場ごとに異なる為、実際の調査と措置の策定は職長を中心にチームとして、現場にあったやり方で実施していくこと、そして対策の効果測定をはじめ継続した活動として進めていくことが重要です。

    特にリスクアセスメントを含めた現場の安全確保について現場最前線の指揮官である職長の役割は重要です。

    職長安全衛生教育

     キャタピラー教習所では職長に対する安全衛生教育を実施しており、その中でこのリスクアセスメントも学ぶことができます。

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