クレーンのフックに荷を掛けたり、外したりする作業を玉掛けといい、資格保有者でないと作業ができません。
玉掛け作業では、なぜ資格が必要なのでしょうか。それは、作業者は吊り上げた荷が落下する危険と、常に隣り合わせにいるからです。
誤った作業方法がなぜ危険なのか、前回に引き続きもう少し詳しく説明します。

ワイヤロープで荷を吊り上げる時、通常は２本のロープを使用します。次の絵を見てください。

１００Kgの荷にロープを垂直にかけて荷を吊ると、１本のロープには荷の重量の1/2の５０Kgの力がかかります。

しかし、ロープが短かかったため、ロープを斜めにかけて荷を吊りあげたとすると、１本のロープにはどのくらいの力がかかるでしょうか。吊り角度が９０度の時、ロープにかかる力は、垂直の時の１．４１倍になります。つまり７０．５Kgの力がかかることになります。

このことを知らずに安全荷重が５０Kgのロープを使用すれば、玉掛け作業中にロープが切れる恐れがあります。荷を吊り上げて移動し、荷を下ろそうとしてロープが切れたら、と考えるとぞっとします。

つまり玉掛け作業には、ロープにかかる力を計算する能力が要求されます。すなわち、ロープにかかる力から、使用するロープ径を見極める能力も要求されます。
更には、どのように荷を吊って運搬するか、作業手順を決め、作業者間の合図を決めなくてはなりません。
このように、玉掛け作業では、玉掛けの専門知識と安全に作業を進める能力も要求されます。

これらのことから、労働安全衛生法では、玉掛け作業は資格者でなければ作業してはならない、と定めているのです。

  玉掛け技能講習と特別教育について                                                             

玉掛け技能講習には、１９時間、１６時間、１５時間の３つのコースがあります。保有している資格や玉掛け補助作業の経験により受講コースが異なりますので、お近くのキャタピラー教習所までお問い合わせ下さい。