第26回 熱中症予防の資格について
熱中症が発生し易いのは気温が高い真夏の屋外だけではありません。身体が暑さに慣れていない初夏の頃や、湿度が高い梅雨時にも熱中症は発生しています。
2023年の職場における熱中症の発生状況を見ると、死亡を含む休業4日以上の死傷者 1,045 人、うち死亡者は 28 人となっています。
業種別にみると、死傷者 数については、建設業 202 件、製造業 220 件となっており、全体の約4割がこれら2つの業種で発生している。
また、死亡者数は、建設業が最も多く、製造業、 警備業及び農業が同数で続き、多くの事例で暑さ指数(WBGT)を把握せず、熱中症予防のための労働衛生教育の実施を確認出来なかった。また、糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有している事例も見られ、その多くは医師等の意見を踏まえた配慮がなされていなかった。
すべての職場において、「職場における熱中症予防基本対策要綱」(令和3年4月20日付、基発 0420 第3号)に基づく基本的な熱中症予防対策を講ずるよう広く呼びかけるとともに、事業者は
①暑さ指数(WBGT)の把握とその値に応じた熱中症予防対策を実施すること
②作業を管理する者及び労働者に対してあらかじめ労働衛生教育を行うこと
③糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する者に対 して医師等の意見を踏まえた配慮をおこなうことなど
重点的な対策の徹底を図る必要があります
熱中症とは、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、体内の調整機能が変調をきたすなどして発症する障害の総称です。症状として次のようなことが起こります。
● 熱 失 神 : めまいや立ちくらみにより失神が起こる
● 熱 疲 労 : 頭痛や吐き気、だるさが起こる
● 熱 射 病 : 体温が上昇し、さらには汗が止まる
● 熱けいれん : 足や腕の痛みやけいれんが起こる
これらの症状が起きますと適切な処置が必要になり、それを怠ると死亡に至る場合があります。
よって、まずは次のような予防対策をしておくことが重要です。
● 作業環境対策 : 作業現場に冷房設備付または風通しの良い休憩所を設置し、
水分と塩分を補給できるものを 常備しておく
● 作業方法対策 : 連続作業時間を短くし小休止を取るようにする。
通気性の良い作業服や空調服等を着用する。
● 健 康 管 理 : 作業従事者は睡眠不足、体調不良等を自ら管理し、管理者はその状態ををチェックする。
作業従事者及び管理者は熱中症予防のために、上記のような熱中症の症状、処置、対策等について学んでおくことが必要です。
キャタピラー教習所では、熱中症予防安全衛生教育を定期的に開催しています。
◇詳しくは、お近くのキャタピラー教習所までお問い合わせください。
熱中症予防安全衛生教育
基安発 0229 第 1 号(平成28年2月29日)
(作業管理者向け)
シリーズタイトル | |
1 | 刈払機の資格 |
2 | 保護具の話 ヘルメット |
3 | 保護具の話 安全帯 |
4 | 振動工具の資格 |
5 | フォークリフトの資格 |
6 | 移動式クレーンの資格 |
7 | 玉掛けの資格 |
8 | 玉掛けの資格 その2 |
9 | 不整地運搬車の資格 |
10 | 高所作業車の資格 |
11 | ロープ高所作業の資格 |
12 | 自動車用タイヤの空気充てん作業の資格 |
13 | 『はい作業』について |
14 | 足場の組立て等の資格 |
15 | 低圧電気取扱いの資格について |
16 | 研削といし取替え業務の資格 |
17 | 締固め(ローラー)の資格ついて |
18 | 伐木作業の資格について |
19 | 粉じん作業の資格について |
20 | 酸素欠乏危険作業の資格について |
21 | フルハーネス型墜落制止用器具の資格について |
22 | 伐木作業の資格について-2 2019年改正 |
23 | 労働安全衛生資格の「再教育」について |
24 | アーク溶接作業の資格について |
25 | 保護具の話 墜落制止用器具 |
26 | 熱中症予防の資格について |
27 | ガス溶接作業の資格について |